ゲーミフィケーションのメカニズム

プレイヤーのモチベーションを上げるためのゲームのメカニズム

これまではプレイヤーを突き動かすための「原動力」を見てきました。しかし、ガソリンがあるだけではモノが動かないように、燃料をつかって組織を動かすメカニズムがゲームデザインには必要です。

ここでは『ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義』の記述を参考に、ゲームのメカニズムを見ていきましょう。

1.チャレンジ

世の中には失敗を繰り返しながら少しずつ対策を覚えていく「死にゲー」というものがあります。これらの「死にゲー」は一見面白くなさそうに見えるのですが、多くのプレイヤーを魅了することも多くあります。

試行錯誤を繰り返し、ようやくクリアした時にプレイヤーは興奮と感動を覚えます。

とはいえただ難しいだけで面白いゲームになるわけでないため、ゲームバランスを整え、プレイヤーの「チャレンジしたい!」という気持ちを呼び出すことが大切です。

2.チャンス

ここでいうチャンスとはゲームのランダム要素のことです。「運」の要素と言い換えてもいいかもしれません。

ゲームにおける「運」の程度はゲームによって異なります。

例えば、囲碁・チェス・将棋はあまり「運」の要素がありません。2016年3月にGoogle傘下のDeepMind社 が開発したアルファ碁(AlphaGo)が韓国の囲碁棋士・イ・セドル九段を破ったことが話題となりましたが、「運」のない世界では論理が全てを支配するため、昨日囲碁を始めた子どもがこのアルファ碁に勝つことはまずありえません。

一方で、すごろくやトランプゲームは「運」が大きく勝敗に影響するため、ついさっきルールを覚えた子どもがその道10年の大人に勝利することも多々あります。

この「運」の要素を上手く調整することで、初心者でも楽しめるゲームにすることで、ゲームへの関与を大きくすることができます。

3.協力

クトゥルフ神話TRPGから「World of Warcraft」などのオンラインRPGまで、多くのゲームはプレイヤー同士の協力がゲームクリアのかぎとなっています。

人は人から期待され、頼られた時、さらにその期待に応えられた時、無上の喜びを感じます。

こうした人の持つ献身の心をくすぐるメカニズムがゲームの中には搭載されています。

4.フィードバック

モンスターを倒した時、ミッションをクリアした時、すぐにその成績が知らされる。

ゲームで見られる素早いフィードバックはプレイヤーのモチベーションになります。

5.リワード

RPGにおいて敵を倒した時に得られる経験値やゴールドなどの報酬(リワード)はゲームの大きな要素です。

多くの場合、プレイヤーはこの報酬により装備を整え、さらに強い敵にチャレンジしていていきます。

このリワードの与え方にによってもゲームの面白さは変化していきます。

フィードバックと組み合わせて、リワードをいかにプレイヤーに素早く、大々的に与えられるかもゲームデザインのポイントの1つです。

6.リソースの獲得

報酬だけでなく、ゲームに出てくるアイテムの収集に夢中になるプレイヤーもいます。

この収集癖をうまくコントロールすることで、プレイヤーをゲームにのめるこませることができます。

7.トレード(交換・取引)

トレーディングカードゲームやポケモンのように、よりゲームに強くなるために、プレイヤー同士でリソースのトレードをすることがあります。

また、「カタンの開拓者」や「ディプロマシー」のように、トレード自体がゲームの中心になることもあります。

このトレードを通じて競争力やリソースの獲得が促進され、ゲームの面白みが増していきます。

8.競争と勝利

何よりゲームで大切なことは勝利することです。そして勝利するために他のプレイヤーに勝ちたいという競争の精神はプレイヤーを突き動かす最も重要なゲームの仕組みとなっています。

参考

ケビン・ワーバック 、ダン・ハンター『ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義』CCCメディアハウス 、2013年、146~147頁。